福島第一原発、相馬市、双葉町、浪江町の視察

2017年7月27日に東日本大震災によって、大きな被害を受けた東北地方を視察しました。
テレビやインターネットで、被災地の様子は多く報道されており、情報としては知っているつもりですが、やはり、現地を直接伺い、報道では感じる事が出来ない雰囲気を感じる事が、防災士として必要な事だと感じていました。
私は東北に縁もゆかりもないのですが、南相馬市のNPO法人の方に案内していただきました。

仙台空港から出発

仙台空港からレンタカー
午前8時、仙台空港からレンタカーで常磐道を南へ双葉町まで進みました。


スマートフォンの地図をナビにして双葉町を目指します。
地図には通行止めのマークが多くあり、ドキッとします。

福島原発から10㎞圏内 ~ 放射能の影響

福島原発から10㎞圏内
田んぼには、立派な米が実っています。
放射線量は減っているが食用には販売する事ができません。
飼料用として使用されているそうです。

「屋敷林」が問題
津波の塩害で枯れている林。
除染対象の地域では、こういった木々も除染の対象となっています。
しかし、除染できない「屋敷林」が問題になっています。
屋敷林とは一般的に家屋の防風や防雪の目的で家の敷地や周りに植えられる木のことです。
東北においては家屋を守るという役目以外にも、産業が振るわない時は、屋敷林の木を切り出して、材木として売る事で生活している時代がありました。
つまり、「屋敷林」は個人の財産という側面が強くあります。
そのため、伐採や除染といった事を国が勝手に行う事もできず、また、持ち主も費用的・心情的な面から撤去する事も出来ない状況があります。

浪江町に到着

浪江町に到着
午前10時。浪江町に到着しました。

モニタリングポスト
放射線量を計測する「モニタリングポスト」が設置されています。

放射線量は0.116μSv/hでほぼ国の基準値(0.11μSv/h)を表示してました。

請戸漁港

浪江町 請戸漁港
浪江町 請戸漁港。

津波により大きな被害をうけた港。

大規模な修復工事が行われ、漁業の再開が復興には不可欠だと感じました。
請戸漁港から見た福島第一原発
請戸漁港から見た福島第一原発。
原発から5㎞。
天候のせいもあり不気味に見えます。

請戸の町

請戸の町
請戸の町。
津波で崩壊しています。

請戸小学校

請戸小学校。
時計が津波発生時で止まっています。
請戸小学校では、学校の先生の判断がよく、生徒全員が助かる事ができました。
現在は立ち入り禁止となっています。

請戸小学校請戸小学校 請戸小学校 請戸小学校大平山
請戸小学校の生徒たちが避難してきた丘(大平山)。
小学校から2キロ程度に位置します。
今はお墓になっています。

町の建物のがれき処理、除染土置き場

建物のがれき処理
町の建物のがれき処理。
所有権や費用負担の問題もありましたが、そもそも入れなかったため、2017年ごろから処理作業が開始されました。

除染土置き場
フレコンバッグ(フレキシブル・コンテナ・バッグの略称)。
フレコンバッグに除染後の土などを入れ、除染土置き場に集められています。
フレコンバッグの耐久性は2年程度といわれており、フレコンバッグを破って中から雑草が生えているものも確認できました。

視察を終えて ~ 人や町の様子

旅館が再開したり、漁港の復興作業をしていたり、地元の人や街の様子からは、観光客に福島に来てほしいという雰囲気が感じ取れました。
また、原発10km圏内でもモニタリングポストによる計測では国の基準値程になっています。
福島原発に近い南相馬市でも一見通常の生活が始まっていますが、そこからほんの数キロほど原発側に近づくとゴーストタウンとなっている現実もあります。
とはいえ、2017年3月に浪江町の請戸漁港で出漁するなど、復興に向けて着実に進んでいます。

東北の復興のために、協力していけることは沢山あると思います。
私は観光などで東北に足を運び、震災を風化させないようにしたいと思っています。